死刑台のエレベーター 57年フランス

 

 

 登場人物の表情が乏しい。一様にあまり気が入ってない風で、マンガみたいに平面的な印象。しかもバカキャラの宝庫。突きつけられた銃に「おや、これはおれの銃じゃないか?」と感想をぽつりと言って速攻で殺される社長、目前で車泥棒を働く彼氏を最初はとがめていたのに、いつのまにかその盗難車の助手席でこぼれるような笑顔を見せる花屋の娘。しかもこのカップル、致死量に満たない睡眠薬を飲んで死にきれずひたすら眠りこけ、結果、さわやかに目覚めたりする。

 

 およそおそまつな馬鹿さ加減のオンパレード。銃による殺人シーンにしても血のりが噴きでるわけでもなく、ただやられた!と突っ伏すだけの寸劇状態。無駄は一切はぶきました、ではマイルスさん、音楽でクールな盛り上げヨロシク、という感じでたんたんとすすむモノクロの世界。とにかく昔の貸本マンガのテイストが満ち溢れていて、好きな世界であります。