地球における就寝時の頭の向き

 

 

秋の日には、びっくりするくらい夕陽がキレイなときがある。
澄み渡る空に浮かぶうろこ雲、流れるすじ雲。
オレンジ色から、薄桃色、紫から紺色へと移り行くグラデーションはえもいわれぬ美しさ。

わぁ、という声が自然に出る。朝陽もいいが、やっぱりしみじみする夕陽がいいな。
「沈みゆく太陽よ、さようなら、多分また明日」と、太陽の切れっぱしが見えなくなるまで見送る。


しかし。実際のところ太陽は沈んではいないし、そもそも動いてない。動いているのは地球。東へ東へと、飽きることなく回転していき、結果として太陽があるとき見えなくなる。そして夜という闇の時を経て、回転の末にまた太陽を見ることになり、これが夜明けだ。昨日見送った太陽に、また目出たくも会えたのだ。つまりは地球という進行(回転)方向が東向きのとんでもなく大きな乗り物にずっと乗っているのです、多分これからもしばらくは。

一般に乗り物に乗るときは、進行方向を向いて座るほうが疲れない。
なので、イスなら西に背を向けて、東を向いて座るのが落ち着くと思う。
では、寝るときの頭の位置はどうだろうか。座った状態とはちょっと話が違う気がした。

東枕で頭から進んでいくのがいいのか、それとも西枕にして足から進むのがいいのか?

 

思うに、うつ伏せ寝なら東向きのほうがいいような気がする。なんか地球という玉を抱いて飛行している感じなので。逆に仰向け寝なら、枕を西にして、頭をリクライニングでちょっと持ち上げると飛行機のファーストクラスのような気分(味わったことないけど)でゆったり眠れそう。

いつかリクライニングベッドを買いたい、とちょっと嬉しくなる。

そう思ったのはいいが、困ったことに気付いた。僕は夜中の三時か四時ごろ、いったん目が覚めてからは、仰向けからうつ伏せ寝に変わる。つまりその際、西枕から東枕に移動しなくてはいけない。

回転もできるリクライニングベッドをニトリや無印が開発してくれたら、と思う。

 

さあ、眠ろう。回転する地球に乗車している実感を持って。

乗車しているってことは、いつかは降りなければならない、ってこと。

ちょっと時間を大事にしたいような気持になった。

 

追記

太陽は動いていない、と書きましたが、間違いでした。

「あさよる、なつふゆ、ちきゅうはまわる」(かこさとし著)によると、

太陽はなんと毎秒20キロのスピードで銀河系の渦の中を渦の中心に向かって進んでいるそうです。